うな記

若者の感傷

ケベックのナイトクラブについて

ケベックにナイトクラブがあるのかどうかはともかく、少なくとも僕にはこのクリックハウスの名曲の名前として記憶されている。しかし実際にあるのかどうか確かめたことはなく、でもケベックは大都市だし(だよね?)ナイトクラブぐらいあるだろう、曲名にもなっているわけだしということで僕の中では収まっている。これでなかったらなかったでかなり皮相な曲になってしまうわけで、でもタイトルで一曲を皮相に出来るぐらいにはケベックのナイトクラブはあるのだろう。なんにせよ、ケベックのナイトクラブに行くことも、あるいは存在を確かめることも今後ない(だろう、わからないけれども)。

 

大抵のものは僕の前に現れることなく過ぎ去っていくし、あるものは大抵の人の前に現れることなく消えていく。そこでなんとかしてそれらを留めておくべく記憶したり記録したり他人に伝えたりするのだが、どうしても言葉で記述できない余剰というべきものがあって、それがあるいは音楽になる。だから僕は芸術家が羨ましい。およそそうでない我々はその余剰を前に考えあぐね、抱え込んでいく以外の選択肢がない。